NPOには会議がつきものです。そして、会議には混乱がつきものです。なかには、「話についていけない」「何を言えばいいのかサッパリわからない」と置いてきぼりになってしまい、話し合うことを諦めてしまう人も出てきます。
その混乱を整理し、積み重ねていくために、いろいろと工夫が必要です。ちょっとしたことに気を付けるだけで、みんなで考える会議が実現します。ぜひ参考にして下さい。
話についていけない人がいない会議のつくり方
まず、話し合いのテーマは、緊急性、重要性が高いものをメインテーマにし、その他はメインテーマとの関連性を考えて話し合う順番を決めていきます。全く違う議題なら、一旦、話し合いを整理した後で改めて話し合います。 次に話し合いを理解しやすく盛り上げながら進めていくには、話し合いのプロセスにストーリー性を持たせることが重要です。
例えば・・・
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「解決策を考える」
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「それを解決した後に起こる可能性を考える」
というストーリーや・・・ という流れなどです。 完璧なストーリーでなくても、筋道立てた流れで解決策を考える話し合いができればOKです。必ずしも「過去」「現在」「未来」という時系列にこだわる必要はありません。メンバーが理解しやすい展開にすることが大切です。よくある議題の箇条書きだけでは、その関係性や流れが見えてきません。それを見せる方法が「話し合いのプロセスにストーリー性を持たせる」ということです。なんとなく難しく感じるかもしれませんが、試しにやってみてください。テーマについていけず置いてきぼりになってしまうメンバーがいない、全員が参加できる充実した会議を実現できます。 会議は、ただ出席すれば責任が果たせるものではありません。出席者の意識によって雰囲気が変わり、イキイキした話し合いになります。次の10個のマナーに気を付けましょう。 ② 前回の議事録を確認して、それまでの会議の流れを把握する ⇒ 議事録はNPOにとって大切な意見の記録です。必ず見直してから出席しましょう ③ 事前に示されたテーマについての情報を集め、自分の考えをまとめる ⇒ 情報収集は出席する全員の役目です ④ 少なくとも1回は発言する ⇒ 発言は、出席者の権利であり責任です ⑤ 示された発言時間を守る ⇒ 他の人の時間を奪わないで! ⑥ 異なった意見を尊重し、否定しない ⇒ 違う意見があるからこそ楽しい活動ができます ⑦ 他の人の発言を邪魔しない ⇒ どんなオチなのか分かりません。話は最後まで聞きましょう ⑧ テーマに沿った内容を話す ⇒ 関係ない話は混乱のもと。結論から話すことも大切 ⑨ テーマ以外の意見がある場合は、話し合いが終わってから発言する ⇒ テーマに関する協議が終わったら、自由に発言を ⑩ ポイントをメモする ⇒ 議事録から漏れてしまうポイントもあります
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「現在の課題を棚おろしする」
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「未来につながる解決法を検討する」会議に出席するための10のマナー
① 必ず出欠を連絡する ⇒ 当たり前ですが、ついつい忘れがちに
メンバーそれぞれがこれらのマナーを守ることで、出席者全員が会議に集中でき、全員の意見を反映した話し合いができます。

会議の結論はどんなふうに出すの?
「自然の流れで」
「予め想定したところに落ち着くようにする」
「無理に出さなきゃいけないものではない」
と、色々な意見があります。
ここで、ちょっと考えてみましょう。
確かに自然の流れで、結論に達することもあるかもしれませんが、「よく考えてみると、いつも誰かの意見に落ち着く」ということはありませんか? また、特定の人たちがもくろんだ結論に導かれた会議は、NPOの会議としては不適切です。そして、結論は無理して出すものではありませんが、毎回、確実にメンバーが協力してまとめていくものです。
会議は、メンバーの大切な時間を使い、考え、意見を出すという労力を使ったものです。「無駄な会議」にするにはあまりにも勿体ない。もし、その会議で結論が出なかったのなら、それは「出なかった」のではなく、「出さなかった」のです。場合によっては、全員で納得した「結論なし」という結論があってもよいと思います。しかし、可能な限り、結論を出す努力は必要です。
何故なら、メンバーの意見のまとめが「結論」であり、その結論の集合体で活動が成り立つからです。いつまでも結論が出ない会議を続けていくと、話し合いへの参加意欲は減っていきます。そして、確実に活動への意欲も減退します。
「意見がたくさん出て、活発な議論もできた。しかし、なかなか話がまとまらず結論が出せない」ということもあります。ある程度のまとめはできても、そこから結論を導くには、更に全員の集中力が必要になってきます。会議の最後に、全員でそれが納得できるものか確認しましょう。全員が納得することで「団体としての結論」になります。
みなさんは、どのように結論を出していますか。
結論は出たものの、その後が問題だらけ
よくあるのは、一旦、決まったことを次の会議で覆してしまうケースです。最悪なのは、全員で決めたことをリーダーもしくは進行役が、事情が変わったことを理由に結論を変えてしまうこと。それ以外にも、不満を持ったメンバーが根回しして、会議を混乱させることもあります。
こうしたことが起こる最大の原因は、決めた結論を尊重しない会議軽視の意識です。これは、仲間への軽視とも言えます。「みんなで決める」ことは、団体活動の根本であり、それは「みんなで責任をもつ」ということにつながります。ですので、毎回、きちんと話し合い、みんなが納得できる結論を出すことがとても重要になります。
しかし、「納得する」というのは、必ずしも「同じ意見になる」ということではありません。個人的な意見だけでなく、団体として考えて「意見は違っても受け入れる」ということです。こうした話し合いを続けていき、団体としての結論を積み重ねていくことで、メンバー個々に「団体の一員としての視点」が育ちます。
団体の会議は、その1回、1回が団体として成長するための話し合いです。アクシデントやトラブルは、それを「どのようにして解決したか」が問題。様々な課題に対する「解決のノウハウ」の蓄積が、団体としての財産になります。団体にトラブルが起きたとき、会議で背景を明らかにし、原因を探り、対応策を考えるといった一連の話し合いの流れを記録しておきましょう。後で、必ず役に立ちます。また、やむを得ず決まったことを変えるときは、必ず会議を通すというルールを守りましょう。
まとめ
NPOの会議は企業の会議とは違います。「こころざし」が同じ人たちが集まって、組織として動いていくために必要不可欠なものです。NPOの特徴は、考え方や利害が違う人たちが集まっている点です。ですので、意見が出にくかったり、反対に出過ぎて話し合いが混乱しがちです。しかし、みんなが同じ立場で話し合い、みんなの意見で決めることができる点は大きな魅力です。そのためには、この記事で書いたことを参考にして、実際の会議でどんどん試してください。活動をイキイキと続けていくために、まずは会議を見直しましょう。
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