思い出はだれのもの? 親の写真をどう片づける?

実家の片づけは体力勝負ですが、精神的に疲れるのが「思い出整理」。写真はもちろん賞状や日記など、本人にとっては大切なものもそれ以外の人には価値が分かりません。親が生きてきた証(あかし)を子どもとは言え、第三者が処分するのはとても骨の折れる作業です。

親の溜めにためた「捨てるに捨てられないモノ」をどうやって処分していくのか。思い出の品は感情が刺激されるだけに、「捨てる」か「取っておく」を簡単に判断できないことがとても厄介です。

それでも処分しなくてはならないとき、私は「自分なりの基準」を決めて判断していきました。途中で迷うこともありましたが、自分ルールを決めることで葛藤が少なくなったと思います。みなさんもぜひ、お試しあれ。

「思い出の品」とはどんなモノ?

不用品には「処分」「保管」の判断が容易につくモノとそうでないモノがあります。なかなか判断がつかず悩むのが、「写真」「賞状・盾」「手帳・日記」など。

これらはただのモノではなく、思い出が詰まっているのでとても厄介です。

そして、それを大切に取っておいた親が同席しない状況で判断していくので、迷い悩み、精神的にとても疲れました。反面、本人ではないからこそ、思い切ってできたこともあります。

写真は、次の世代に伝えたいものだけ残す

実家を片づけていくと、机の下から菓子箱に入ったバラバラの写真がたくさん出てきました。8年前に亡くなった父の笑顔が、突然目に飛び込んできました。それらにイチイチ反応して感傷に浸っていては、いつまでたっても整理できません。そこで、私が子どもたちに残しておきたい写真を選んで、それ以外は処分することにしました。

アルバムも古いものから新しいものまで、本箱にギッシリ並んでいます。これらも、バラ写真と同様の基準で整理していきました。母の趣味関係のアルバムは、ほとんど知らない人が写っていたので迷うことなく処分。母が舞台で踊っている写真は、いつでも見られるように施設の部屋に持ち込みました。

その他の取っておきたい写真やアルバムは、箱詰めして自宅へ。古い戸棚を「母専用思い出コーナー」にし、その中に納まるモノだけを厳選して、それ以外を更に処分しました。

「賞状・盾」は、もらった本人が残したいモノだけとっておく

実家には、母の踊り関係で頂いた賞状額や盾がズラリと飾ってありました。しかし、その価値が分かるのは本人だけ。目ぼしいモノだけを施設に持って行き、残したいモノを選んでもらいました。ところが折角運んだものの、「取っておく」と言ったのは、盾ひとつだけ。今まで捨てられなかった割に執着心がない事に驚きました。

「手帳・日記」はストレスのタネ

私の母は、いわゆる「メモ魔」。手帳はもちろん、折り込み広告を小さく切ってメモ帳にし、至る所にメモ書きがありました。その中には大切な覚書もあり、そういうモノはサッサと捨ててしまう訳にはいきません。ひとつひとつ目を通し、整理していきました。

そうこうしている内に、何冊もの日記帳が出現。軽い気持ちでメモ帳同様読み始め、すぐに後悔しました。日記は、出来事だけでなく感情も記録されていたからです。ザッと読み進めていくと、こちらの感情を逆撫でするような内容がいくつも出てきます。日記ですから当然と言えば当然ですが、それが何十年分もあると「もう勘弁して」という気持ちになります。それでも私が知っておくべき重要な事が書かれているかもしれないと思い、ザックリ目を通し続けましたが読後感は最悪。重~い気分になりました。

やはり、手帳や日記は、身内といえども第三者が読むモノではありません。整理する人は「読まない」、書いた人は「自分が判断できるうちに処分する」ことをお勧めします。家庭内の平和のために。

「ラブレター」発見。どうしたらいいの?

押し入れを整理していた娘が、天井近くの棚から紙の束を発見。触るとボロボロ崩れてきそうな黄ばんだ紙は、かなり虫食いの跡がありました。

紐を解いて、そっと開いてみて驚きました。私の生まれる前、70年前の両親のラブレターでした。子どもの頃から「親に大反対されて、駆け落ち同然で結婚した」と聞いていたので、両親の大恋愛物語は何となく知っていました。その証拠の品が出てきたのです。

破らないように細心の注意をはらって開いて読むと、若い頃の両親がいかに情熱的だったかが分かりました。しかし私も60代半ば、熱い思いのやり取りに3通ほどでギブアップ。とはいえ、さすがに捨てられず、束を縛り直し防虫剤をたっぷり入れてビニール袋でしっかり封印。「母専用思い出コーナー」に仕舞い込みました。両親にとっては大切な思い出なので、母が生きている間は大事に取っておくつもりです。

思い出の品は、他人にとってはただのゴミ

これらのモノを片付けていて気付いたこと。思い出の品は「量より質」。自分で整理できなくなる前に、この先の人生を楽しく出来る厳選したモノだけを残し、後は自らの手で処分することが肝心です。でないと、それらの価値が理解できない他人にとっては、全てがただのゴミになってしまいます。

本人が出来ない状況で仕方なく処分役になった私にとって、「思い出整理」はかなり精神的にストレスがたまることでした。でも、母が大決心しても結局は捨てられなかっただろうと思うと、やはりこれは子どもの役割かなとも思います。ともあれ、身体の疲れと精神的ストレスでヘトヘトになる厄介な作業でした。

まとめ

両親の「思い出の品」を片づけて感じたことをまとめます。

親の思い出を片づけるときの注意点

「捨てる」「とっておく」の基準を自分ルールとして決める

・写真は自分が子どもたちに残したいものを厳選し、それ以外は処分する

・賞状や盾、トロフィーなどは、もらった本人(母)が残したいものだけを残して処分する

・片づける人は、親の日記や手帳を読まない

・日記を書いた人は、自分が判断できるうちに処分する

思い出の品は自分で片づけられなくなる前に、この先の人生を楽しくできる厳選したものだけを残し、後は自分の手で処分することが大切

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