市民活動はこうして立ち上げる 活動の芯を創る4つの会議

「人の役に立ちたい」「社会のために動きたい」と、ボランティアマインドで立ち上げるNPO。ブレない活動を進めていくためには、立ち上げ期に4つの会議で「ミッション」「ビジョン」「長期・中期計画」「年間計画」をしっかりと決めること。それを踏まえた活動を積み重ねていくことで目標達成度が格段に上がります。

私は、15年以上、市民活動団体の運営の相談を受けてきました。立ち上げ期に決めるべきことを決めなかったために、その後の活動が上手くいかない、メンバーの意見がまとまらないなどの問題が起こることを度々目にしました。あなたの団体がそのような問題に足を取られないようにするためには、この4つの会議をしっかりクリアしていくことが重要です。

団体の基礎固めに必要なこと

団体の運営には、大切な3つのポイントがあります。第1に「ミッション」。これはグループがこれから果たしていく社会的な役割や使命のことです。「こころざし」といってもいいでしょう。第2に「ビジョン」。グループの活動を続けていくことで開ける可能性や未来像といったものです。「こうなったらいいな」という夢と考えてください。第3は「計画」です。活動するためには、計画が不可欠です。無計画に活動することは、地図を持たずに旅するようなもの。大きなリスクとロスを覚悟しなければなりません。これらの重要な決めごとを考える会議について書いていきます。

ミッション構築会議

「ミッション」とは、団体がこれから果たす社会的使命のこと。この「社会的」ということがとても重要です。個人的な楽しみや満足に終始するものではなく、常に地域や社会全体を意識して活動をしていくための方位磁石のようなものです。羅針盤といってもいいでしょう。


これを決めていないと、メンバーが自分たちの活動を何のためのものなのかということをハッキリ意識できません。普段の活動をしているだけなら特に問題は起こらないかもしれませんが、何らかの原因で意見の食い違いが生まれ混乱したときに役立のがミッションです。

ミッションを構築していくために、次の3つの問いをメンバー全員で考えましょう。

  1. この活動が必要だと思う、今の地域や社会の状況、問題はどのようなものですか?  (社会的課題)
  2. 「誰のために(対象)」「何をする(活動内容)」活動ですか?
  3. 活動を続けていくことで、地域や社会がどのように変わっていくと思いますか?  (目的&目標)。

この3つの問いに答えていくだけで、活動で「社会的課題」やお役に立ちたいと思う「対象」、みんなで創り上げていく「活動内容」がハッキリ見えてきます。そして、将来への道筋の手がかりとなる「目的&目標」を見つけることもできます。そして、出てきた意見を一つの文にまとめます。メンバーが合意できれば、どのような文でも構いませんが、必ず一文にまとめることがポイントです。

このミッションは、団体や活動がどのような内容なのかを端的に表す説明文と考えてください。ですので、地域の人たちに自分たちの活動を説明するときにとても役立ちます。ミッション構築会議で共有することで、「メンバーによって話が違う」ということも防げます。それは、結果的に団体への社会的信用を高めることにつながります。

ビジョン創作会議

「ビジョン」とは、簡単に言えば、「活動の将来の夢」です。活動を続けていくその先、活動や団体、社会がどのように変化するのかを想像します。もちろん、ポジティブで前向きな姿を思い浮かべてください。やる気が出ます。

会議は、次のような段階で進めていきます。メンバー個々が思い描く「団体の将来像」を書き出します。そのとき、「団体として」「活動内容として」「社会や地域の状況として」の3つの視点で考えることが大切です。

あなたの活動が将来どうなって欲しいですか?

  1. 団体として・・・団体の規模や体制はどうなっていますか?  任意の団体のまま? NPO法人化しているの? それとも、事業者になっているの?
  2. 活動内容として・・・活動内容がどのような展開になっていますか?  したい活動や可能性のある活動を全て書き出しましょう。
  3. 社会や地域の状況として・・・活動することで、社会や地域がどのように変化してほしいですか?

このとき、「書くのは難しい」「全然思い浮かばない」「面倒くさい」などの意見が出た場合は、思い浮かべるイメージに近い写真を新聞や雑誌、その他から集めて持ち寄ることをお勧めします。写真は言葉では表現できない雰囲気まで伝わるので、3つの視点のそれぞれについて、自分のイメージに最も近い写真を探し出すのも楽しい作業です。

個々の「期待する将来像」を出し合い、全員で共有します。ここで大切なのは、出された案に対して決して否定的な意見を言わないことです。疑問に感じたことは、その場で質問します。「説明する」ことと「説明を聞く」ことで、出席者全員の理解が深まります。誰も気づかなかったアイデアが生まれるかもしれません。

共有した個々が期待する将来像を「団体の将来像」にまとめます。できるだけ多数決ではなく、全員が納得できる結論を探しましょう。「団体」「活動内容」「社会や地域の状況」の3つの視点それぞれの将来像がまとまったら、それが「団体ミッションに合っているか」をしっかりチェックします。

チェックが終わったら、ミッションと同様、3つのパーツをひとつの文にまとめます。文の終わりを断定形にすることが肝心です。ミッションでは、文末を「目指します」で終わりますが、ビジョンは、活動した結果を表現するものなので「なります」「なりました」という形が適当です。

長期・中期の活動計画会議

活動計画はその期間によって、「長期」「中期」「短期」と3つに分かれます。まずは、長期計画について考えてみましょう。みなさんが創ったビジョンを実現するために何年間かかりますか? そのために何が必要だと思いますか?

一般的には、長期10年、中期5~3年、短期3年~1年程度と考えられています。しかし、団体によってビジョンが違えば、当然、そこに行きつくまでの期間も違ってきます。そこで、団体に合った計画を立てるために、それを実行していくメンバーが目標達成までに必要な期間を設定することをお勧めします。団体により抱える事情もそれぞれですから、自分たちの事情をしっかり把握した上で期間を決めましょう。

期間ごとに「ヒト」「資金」「モノ」「情報」の4つの視点で、出来るだけ具体的に設定していきます。例えば、ある団体のビジョンを具体的な目標に置き換えると「5年後に子どもから高齢者が気軽にくつろげるカフェを開く」になったとします。その計画を実現するために、5年後までに何をどれだけ準備しなければならないかを話し合います。どのような人材が何人必要か、資金はいくら必要でどう調達するか、カフェを開く場所と施設をどこに確保するか、自分たちの活動への協力者を集めるための広報手段をどうするか・・・などです。

長期計画のリアルな内容が見えて来たら、中間地点である中期計画を具体的に考えていきます。ここでは、できるだけ具体的な数値で考えていくとイメージが明確になります。

これらの計画づくりは、ビジョンを長期目標に置き換えて、逆算しながら目標達成の道筋を見極めていくという会議です。つまり、活動の夢を現実の計画に落とし込んでいく作業です。この話し合いがしっかりできていれば、途中で遭遇するであろう様々なアクシデントにも道に迷うことなく対処できます。

 年間行動計画会議

さて、いよいよ団体として動くための「年間行動計画」を立てます。組織として動くために、それぞれのメンバーが自分の立場や役割を理解して行動する計画です。もちろん、その前提として、それぞれがミッションとビジョンを把握していることが必要です。

一般的に年間計画というと、4月から翌年の3月までの1年間の計画のことですが、団体によっては、秋に立ち上げるから10月から翌9月までにするということもあると思います。ただ、将来的に行政など公的な機関から補助金や助成金、委託などを受けることを考えるのなら、官公庁の年度、4月~3月にしておくと混乱が少ないです。その場合、立ち上げから年度末(3月)までは準備期間、4月から正式スタートとすれば問題ありません。

「何を」「どこで」が決まったら、必ず「だれが」を決めます。このとき、「できる人」より「やってみたい人」にその役割が任されるようにし、くれぐれも押し付け合いの雰囲気にならないように全員で協力しましょう。そうすれば、役割を果たしながらメンバーの能力を伸ばす活動ができます。押し付けられた役割にやる気は生まれません。そして、担当の人が困ったときは、いつでも相談にのり解決していく団体の雰囲気や体質をつくっていきましょう。

こうして年間行動計画が決まったら、定期的にミーティングを開いてその進捗を確認しましょう。このとき、計画が遅れていたり手つかずになっていたら、早めにその原因を探り、担当を増やしたり、計画に無理が無いかチェックしましょう。

まとめ

団体運営に欠かせない「ミッション構築会議」「ビジョン創作会議」「長期・中期の活動計画決定会議」「年間行動計画会議」の4つの重要な会議について書きました。これから団体を立ち上げようと考えている方は勿論、既に団体として活動しているがどうも運営が上手くいかないと思っている方も、この記事をヒントにして「芯の通った団体運営」を目指してください。しっかりした基盤の上に活動を続けることで、あなたの想いが形になり未来を拓いていくことを願っています。