NPOの悩みから課題を見つけて解決する方法とは?

どんな団体や組織にも悩みはあります。

漠然とした不安や悩みが実はすぐに解決しなければならない問題につながっていたり、一見、メンバーの個人的な悩みに見えても、実際は団体の課題として取り組まなければならない場合もあります。

ここで重要なのは「問題」と「課題」を区別して考えること。今起こっている問題をそのまま課題として取り組むことはできません。理屈っぽくなりますが、問題を解決するためには、取り組む課題をはっきりさせなくてはなりません。言い換えれば、課題とは、NPOが取り組むべき解決策ということです。

これがはっきりすれば、メンバーがそれぞれの立場で取り組まなければならないことが見えてきます。この記事では、漠然とした悩みから問題点を見つけて、それを課題としてメンバーみんなで解決していく道筋のつくり方を説明します。

漠然とした悩みは団体の課題につながる?

課題解決のためには、その不安や悩み、時には不満などがどこから生まれてきたのかを探る必要があります。

「私だけに仕事が回ってくる」「こんなことしていていいのかな」「長く活動しているけど、その内容を周りの人に分かってもらえない」「知らない内に大事なことが決まっている」「会費が何に使われているのかわからない」など、団体や組織にはいろいろな不安や悩み、不満がたまっています。

メンバー個々の悩みの根本を探っていくと次のような「団体としての運営の問題」につながっています。例えば・・・

「私だけに仕事が回ってくる」⇒負担の不公平感

「こんなことしていていいのかな」⇒将来的な活動への不安感

「長く活動しているけど、その内容を周りの人に分かってもらえない」⇒承認への欲求

「知らない内に大事なことが決まっている」⇒組織運営への不信感

「会費が何に使われているのかわからない」⇒会計処理への不信感

漠然とした不安や悩みには、実は不公平感や不安感、欲求、不信感などが背後に存在しており、それを放っておけば活動が行き詰まり、団体や組織が崩壊する危機を招くかもしれません。

このような運営の問題を見つけたら、次は「どうしたいのか」「どうなりたいのか」という「解決の方向性」を考えてみましょう。「メンバーで分担したい」「活動の目指す方向を見つけたい」「周りに知ってもらうために宣伝したい」「話し合いをオープンにしたい」「会計を信頼できる人にお願いしたい」など、したいことがはっきりしたら、後は、それをどう実現するのかを考えます。

問題から課題を見つける

みなさんは「問題」「課題」は同じだと考えていますか? 実際の現場でも、「問題」と「課題」を混同して、ほとんど同じ意味で扱われているのをよく見かけます。

しかし、会議のプロセスを考えるとき、この2つをしっかり分けて考えることが重要です。

「悩み」を整理して団体が抱えている「問題」を把握し、「解決の方向性」に向けて、実際の行動として取り組むべき「課題」を設定するということです。

一見、ひどく面倒に感じるかもしれませんが、解決には課題の設定が極めて重要で、その設定を見誤るとせっかくの話し合いが時間の無駄になってしまいます。

では、具体的にはどのように進めていけばいいのでしょうか。その手順は次の通りです。「」の部分は事例です。

メンバーの悩みを聞く

「私たちが知らない内に大事なことが決まっているので、活動についていけない」

団体の抱える問題点をはっきりつかむ

「一部のメンバーに運営側への不信感があるために団体内がギクシャクしている」

メンバーが望む解決の方向性を探る

「役員が話し合って決めたことをメンバー全員に知らせてほしい」

取り組むべき課題を決める

「団体としての決定の仕組みを明確にして、全員が共有できる方法を実施する」

 実際に動くための計画を立てる

「半年で決定の仕組みを全員で決めて、団体内で共有できる手段を検討する」

というような整理ができると思います。もちろん、同じ悩みに対する課題はひとつではありませんから、団体や組織の現状をしっかり把握して、解決すべき課題の優先順位や取捨選択が必要になります。こうした話し合いをしっかり積み重ねることで、メンバーがすぐに行動に移ることができる解決策を考えることができます。

つまり、問題解決には、メンバーが行動に移すことができる「課題」という解決策を考え、すぐに行動に移すことが必要です。

解決に向けての計画を立てる

解決に向けた行動を起こすためには「計画」が必要です。課題という解決策ができても、実際に行動しなければ問題はいつまでたっても解決しません。課題を決めたらそれをいつまでにするのかを決めます。可能であれば、「誰が」「何を」を決めておくと更に動きやすくなります。

この計画は当面の目標と考えてください。「やってみたけど上手くいかない」ということはあります。そういうときは、再度、上手くいかなかった原因は何かを考え、課題を修正します。問題点は変わらないけど課題が的外れだったということもあります。少しずつ修正していくことで解決につながります。

団体の運営は「失敗の経験」がとても大切です。その経験が次の失敗を防ぎ、団体の知恵を蓄積していきます。「どうせやっても無駄」とあきらめたら、そこで解決への道は閉ざされてしまいます。あきらめこそが問題解決への最大の敵です。

まとめ

NPOの運営はなかなか難しいものです。会議で話し合っていても、メンバーの本音を聞くことはできません。しかし、運営の問題点はその本音に隠されています。

この記事では、メンバーの悩みから本音から見える団体の問題点を見つけて、解決策としての課題を決め、メンバー自らが解決していく計画を立てて実行する道筋の見つけ方を書きました。

活動しているけど、なんとなく上手くいってないと感じているみなさん、一度、立ち止まって問題解決の道を見つけませんか? これから成長していくために、きっと役立ちますよ。

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