大人は何から学ぶのか Ⅰ

8755a86b9e067acb3590829a30e07802_m私の学びスタイル

私には、ずっと大きな悔いがありました。

人生をやり直すとしたら、迷わず「高校に入ったときから」と答えます。

高校時代は、学べる環境にいたのにそこから逃げることばかり考えていました。まさに「学ぶべきときに学ばなかった」という悔いです。「学べなかった」のではなく「学ばなかった」のです。その頃の私は、空想好きで演劇に興味をもっていました。「高校で演劇部に入りたい」という思いだけで演劇部のある高校の入試に臨み、無事入ったものの、両親の大反対で私のささやかな夢はあっけなく玉砕してしまいました。

入学直後に起こったその出来事は、高校生活への意欲を根こそぎ奪ってしまいました。親に反抗するパワーもなく、目標を見失った私は、勉強だけでなく学生生活そのものへの興味を失い、その後、短大へ進学しても無気力で受け身の生活態度を続けました。それは結婚してからも変わりませんでした。

そんな私が、真剣に「学び直し」を考え出したのは40歳になってしばらくたった頃。子どもたちが親を煙たがるようになった45歳から通信制大学で学び直しをスタートしました。大学卒業後、社会人入学制度を利用して大学院に入り、修士に続いて博士の学位も頂きました。働きながらの学びですので、高校時代とは異なり勉強時間の確保に四苦八苦しましたが、「学びたいから学ぶ」という状況はかなり心地よいものでした。おまけに、こんなに集中力と粘り強さがあったのかと新たな自分発見も出来て、充実感に満たされた生活でした。

「大人の学び」は大学や大学院で学ぶことだけではなく、趣味や社会活動の世界でもしっかりできます。しかし、私は「大学で学ぶ」ことにこだわり続け、最終的に博士論文をまとめることができました。それは、あくまで私自身の選択です。学ぶことも止めることも自由。その代り「自分が選んだことに対して、自分が最後まで責任をとる」という原則がついて回ります。選択したことへの責任を取り続けるという姿勢を通して、様々な経験が可能になります。そこで、熟成される考え方や感性をベースにした、その人にしかできないライフワークの発見が大人の学びの成果だと思います。

私は、これからの生き方として、生涯を終えるまでずっと「カジュアルな研究者」として、地域の中で自分らしい研究を続けていくことを決めました。これが、私のライフワークであり、大人の学びの成果です。