「困り果てた着物処分」 ひとりっ子シニアの実家じまい⑥

さて、実家の整理も終盤です。高価なものがほとんど見当たらなかった実家ですが、唯一、自宅に運んだ貴重品(?)は着物です。

母が趣味で集めた100枚以上の着物をどう処分するのか。本当に悩みに悩みました。

それにしても、高価な着物ほど処分に困るものはありません。「出張買取」と「宅配買取」でガックリ度マックスの顛末を書きます。

興味も知識もない「着物」をどう処分する?

母が本格的に着物を集め始めたのは70歳代からだと思います。着物に興味のない私は、母がどのような着物を持っているのか、全く関心がありませんでした。ところが、いつからか、和服用のタンスが増え、帯を入れた箱が積み上がっていく様子から「何かおかしい」と感じ始めました。

しかし、いくら親子でも親のお財布事情に踏み込む勇気はなく、「こんなに買えるほどお金があるのかな?」と少しずつ不安になっていました。

3年ほど前に「どんな着物があるのか教えて」と見せてもらいましたが、高価そうな着物がズラーっと並んでいました。しかし、その価値が分からない私は、それらにいくらかかっているのか見当もつきませんでした。

母が倒れてから色々調べていく内に、貯えを全て着物につぎ込んでいたことが分りました。老後の貯えを惜しみなくつぎ込むとは、我が母ながらその度胸に感心します。その根拠のない度胸の所為で、心配性ひとりっ子の私はいつも振り回されます。

しかし、いくら好きでも車イス生活になり着られなくなっては処分するしかありません。そこで、母が入院して間もなく実家にある着物や帯、小物、バッグ、草履などの一切合切を自宅に運びました。いくら関心がないとはいえ、高価そうな着物を無人になった実家に置いておくわけにはいかなかったからです。

とはいえ、自宅の一部屋を占拠した着物をそのまま放置しておくこともできないので、インターネットで買取について調べ始めました。母は「着物なんて買うときは高いけど、売れば二束三文だからねぇ」と他人事のように言うだけ。取りあえず、「出張買取」から試すことにしました。

まずは「出張買取」で知識を得る

電話で申し込むと、希望の日に査定士と名乗る一人の若い男性がやってきました。着物が置いてある部屋に通し、早速、査定開始。手際よく目ぼしいモノを見つけていきます。

ネットで見つけたその会社では、売れそうなモノだけをピックアップして、その場でネットに上げて反応があれば買い取るというシステム。無駄のない仕事ぶりに感心しました。

その業者にして良かったと思ったのは、「これは買い取りに出さない方がいいですよ」とアドバイスしてくれたこと。その着物は「泥染めの紬」で、かなり高価らしく買い取りに出してはもったいないらしい。というのも、自宅に持ち帰った着物には、高く査定してもらうときのポイントとなる「証紙」というものがなく、「それがあれば査定額がかなり違う」とのこと。そんなものがあることも知らず、あったとしてもどこにしまい込んであるのか分からない私は、「なんと勿体ない」と、かなり悔しい気持ちになりました。

作業を見守りながら、査定士に色々なことを教えてもらいました。母の着物は高価なものが多く、かなり呉服屋の売り上げに貢献していただろうということ、母は紬などの織のものが好きでそれらの買取には証紙の有無が買い取り額の明暗を分けること、友禅などの染のものは作者名があると証紙と同じ効果があることなどが分りました。

帯もかなりたくさんありましたが、原型を留めていたのはほんの数本で、ほとんどを「文化帯」という作り帯に仕立ててありました。それを見ても、母が「着るため」に買い揃えていたことが分ります。ところが、これが買取には全く適していないようで、高価な帯をバッサリ切っていることに業者もビックリ。「こんないい帯を切ってはいけません」とかなり残念がっていました。

ということで、良いものや売れるものを厳選して、着物13枚、帯10本で5万円の買い取り額でした。それが高いのか安いのかは分かりませんでしたが、全く知識のない状態から少し前進出来たと感じました。

残りは「宅配買取」でスッキリ

100枚以上ある着物の中から13枚が売れたものの、見た目には減ったようには思えません。「証紙」が無かったことがかなり悔しかったので、実家整理を優先することにし衣裳ケースの中身をチェックしていくと、着物生地のハギレがゴッソリ出てきました。なんとそれが「証紙」。早速、ハギレと着物をパズルを解くように突き合わせていき、次の買取に向けての準備を進めていきました。

着物は勿論ですが、帯や帯紐、帯揚げなどの小物や着物とお揃いで仕立てたバッグや草履なども処分しなければなりません。出張買取の様子を見ているとどうやらそういうものは査定対象にならないらしいと思いました。帯締めや帯揚げは、娘がフリマアプリでセット売りしましたが、それにも限界があります。実家の整理が一段落した後、残りを一挙に片付けてしまおうと、今度は「宅配買取」をお願いすることにしました。

依頼した業者は、事前に専用の段ボール箱を送ってくれ、それに詰めて送り返すという段取りです。送料無料。買取金額にこだわらないならかなり便利なサービスです。

私は、全部で8箱を3回に分けて送りました。対面ではないのでどのように査定されたのかは分かりませんが、「荷物受け取り」「査定開始」「査定金額」の3回の連絡があり、安心して待つことができました。結果は、8箱で6万円ちょっとでした。

自宅に残した着物たちの行く末は?

「出張買取」と「宅配買取」を合わせて約11万円。査定士に聞いた「多分、1千万円以上」かけたことを考えると、母の言う「二束三文」と言う言葉が現実味を持ちます。ただ、私が買ったものではないので、かなり安かったとはいえ売れたことで良しとしました。自宅に置きっぱなしにしておくと、それがまたごみ化するのは目に見えていますから。

母の着物の中から、私と娘が気に入った着物、良いものだと思われるもの30枚程度は、古い整理ダンスに保管しました。どれも素敵な着物ですが、着る予定は皆無。この先、私は益々老いていくし、娘も着物を着る機会がそれほどあるとは思えません。これらの着物も追々処分していかなければなりません。またいずれ、買い取り査定にガックリする日がくるのでしょう。

次回は、いよいよ最終回です。