モノだらけの実家をたった1カ月で片づけた方法とは?

「実家がモノだらけで、老いた親がつまづいてけがをしないか心配」

「実家は親が亡くなったときのまま。片づけなくてはいけないけど、なかなか思い切れない」

子どもにとって「実家の片づけ」は、親の生死にかかわらず重い問題です。ましてや、子どもがシニア世代となれば、ますます肩の荷が重くなります。

2018年の秋、私は実家を売却しなくてはならなくなりました。そのためには古い家を解体し、更地にしなくてはなりません。解体する前には、家中に堆積している膨大な量のモノを何とかしなければ・・・。幸いなことに、そのときひとり暮らしの母が入院中だったため、私と家族は集中して片づけることができました。

今は、モノを捨てるのにもお金が掛かるご時世です。「出来るだけお金をかけずに不用品を処分したい」。しかもタイムリミットは1カ月後。焦る思いで実家の片付けに取り組みました。

この経験が、これから実家の片づけに取り掛かるみなさんのヒントになればと思います。

手はじめは重要書類や貴重品をさがす

最初にしたことは、土地の権利書や通帳、貴重品などを探すこと。何しろ、高校卒業後、実家を離れて45年以上経っているため、母が何をどこにしまっているのか全く分かりません。母のあいまいな記憶を手掛かりにほとんど宝探し状態で探し回りました。重要な書類などを無事見つけてホッと一安心。

次は請求書や領収書のチェックです。突然の入院だったので、新聞やお弁当などの宅配してもらっていたものを全て止めなくてはなりません。請求書や領収書をチェックしながら、定期的に何を取っていたのかをつきとめていきました。

こうした作業をしていく内に、いかに母と私がコミュニケーション不足だったかを思い知りました。私は母の日常生活をほとんど知りませんでした。「大丈夫。何も困ってないよ」という言葉を信じて、知ろうとしなかったことを反省しました。

解体屋さんのアドバイスは効果バツグン

本格的に整理を始める前に、解体業者に下見をしてもらい、現状で不用品処分にいくらかかるかを見積もってもらいました。モノが溢れる家の中を見て「多いですね」とひと言。その業者は解体だけでなく、残った不用品の処分も引き受けてくれるというので、期限までに出来るだけ片付けて残ったモノは業者に処分を依頼することにしました。ちなみに、そのときの見積額は約26万円。相場が分らなかったこともあり、「ずいぶん費用がかかるなぁ」と驚きました。

そこで、業者に「何を優先的に片付ければ費用が抑えられるか」と質問したところ、「衣類」「ふとん」「カーテン」の3種類を片付ければかなり節約できるとのこと。

とはいえ、見回せば衣類やタオルなどの布製品ばかりが目につきます。落ち着いて確認すると押し入れという押し入れにプラスティック製の衣裳ケースがズラリと並んでいます。もちろん、全てのケースの中には衣類がギッシリ詰まっていました。ザッと数えただけでも50個以上。見ただけでウンザリしたのは言うまでもありません。

それでも片付けなくてはなりません。家族3人で「まずは衣類・ふとん・カーテンを処分する」を合ことばに黙々と作業を続けました。

売れるものは売る

優先順位1位の衣類は、まずは古着買い取り業者の店舗に持ち込みました。「ほとんど使っていない」と思われる洋服や帽子、バッグなどを大きなビニール袋に目一杯詰め込んで、車のトランクルームに載せられるだけ載せて運びました。ところが、ほとんどが1キロ当たり1円という査定で、1回の持ち込みで600円程度にしかなりません。忙しいときに店舗で査定を待つ時間も惜しく、結局、店舗持ち込みは1回だけであきらめました。

上質なバッグやアクセサリーなどは、娘がフリマアプリを使って少しずつ売っていきました。とはいっても、中古品の値付けの相場が分からないので、既に出品されている同様のモノの値段を参考にしたようです。このサービスは、出品者側が値段を決められるので、買い取り額にガックリということはありません。そのかわり、モノによってはいつまで経っても売れないというリスクもあります。これについては、全て娘にお任せでしたが、ある程度の売り上げはあったようです。手間は掛かりますが、リサイクルショップに持ち込むより高価で売れるところが魅力です。

中古のカメラや三脚などは、夫がリサイクルショップに持って行ったところ、タダではなくいくらかは値段が付いたようです。この辺りは、時間と労力とお金のバランスを見て判断することが必要だと感じます。

使えるモノは譲る

私は、母の知り合いとほとんど面識がなく、譲るといっても誰がもらってくれるのか全く分かりません。母は、長い間、民舞を教えていたこともあり、その関係の衣裳や小物、カセットテープ、CDなどが呆れるほど大量にありました。そこで、生徒さんのひとりに電話して事情を話したところ「踊り仲間と一緒に行きます」という返事がありました。

3人の生徒さんたちは、お稽古に使えそうなモノを譲り受けてくれました。その日は丁度、衣裳ケースを処分するために大量のケースを車庫に運び出していたので、「ガレージセールをやればよかったね」と言いながら、楽しそうに着られそうなコートや布地などをたくさん持ち帰ってくれました。母が長い間お世話になった方たちに使ってもらえることで、「モノを捨てる後ろめたさ」から少し解放された気分になりました。

残ったモノはひたすら捨てる

不用品処分は、結局、モノを捨てるということです。売ったり譲ったりできるのは、ごく僅かなモノだけです。ほとんどは分別して捨てることになります。

時間があれば不用品の有効活用の道も見つけられたと思いますが、引き渡し期限が近づくにつれ、ひたすらゴミ袋にモノを詰め込むという作業に明け暮れました。本当に指定ゴミ袋が何枚あっても足らないという状況で、浴室や納戸などに積み上げられたゴミ袋の山を見る度に、やる気が萎えていきました。

持て余したらプロに頼む

実家の整理を本格的に開始して2週間ほどたった頃、実家は不用品とパンパンに膨らんだ大量のゴミ袋で足の踏み場もなくなっていました。夫と2人で3日間泊まり込みで作業しても片付いていく気配さえ感じられず疲労困ぱい。このままいくと、高齢者である私たちの身体まで参ってしまうと感じました。

そこで、夫と相談してプロに衣裳ケースの処分を依頼することにしました。テレビで宣伝している「くらしのマーケット」というサイトで選んだ業者の「2トントラック積み放題」というプランをお願いしたところ、当日は屋根付きトラックで到着。若者ひとりでやっている便利屋さんだそうで、ガレージに出しておいた中身がギッシリ詰まった50個の衣裳ケースを軽々と積み込んでいきました。そして、なぜか納戸にあった事務所にあるようなコピー機もついでに持って行ってもらいました。

これで、押し入れスッキリ。部屋の床が何とか見えるようになりました。すると、不思議なことに俄然、私たちのやる気も復活。これ以降、整理のスピードがグーンと加速しなんとか期限までに片づけることができました。

片づけの成果

「1カ月で本当に片づくのか」と疑心暗鬼になりながらも頑張った実家の片づけ。最後には、ごみ処理場に運ぶ時間が惜しくなり、家の中をゾーンに分けて徹底的に分別することにしました。

解体前の引き渡しのとき、解体屋さんが驚くほどに片づいていたことで、不用品処分費が大幅にダウン。業者さんが言うには「モノの分別に時間がかかるので、人件費が高くなる。しっかり分別してあれば、運ぶだけで処分できるためコストを抑えることができる」とのこと。ということで、最終的に支払ったのは解体費用のみ。不用品処分費をゼロに抑えることができました。

大幅な費用削減は、家族で頑張った努力が報われた喜びが大きかったです。でも、それ以上に実家のモノ1つひとつを手に取って、親の暮らしを整理できたことは、娘としての責任を果たせたという達成感がありました。

とはいうものの、やはり無理をしていたようで、片づけ完了後の半年間くらいは体調が不安定で困りました。いつかはしなくてはいけない「実家の片づけ」。みなさんが体調を崩すことなく、終えられますよう願っています。

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